「ガンプラ凄技テクニック機動模型超級技術指南」が凄い。現代のガンプラモデラーは必見の一冊。
林哲平さんの「ガンプラ凄技テクニック機動模型超級技術指南」
バイク模型の手触り
タミヤの1/12 CBR1000RR-Rを作っています。
青島文化教材社のGORILLAを作っているので、バイクプラモとしては2つ目なんですが、だいぶ違うという印象です。同じバイクプラモとひと括りにしても、GORILLAは50ccの原動付き自転車で、CBR1000RR-Rは1000cc超えのレーサーバイクですから、大きさも構造も全然異なり、別物と言っても差し支えないぐらいです。
プラモデルとして比べるとCBR1000RR-Rはパーツ数も多く、メカニカルな機械としてのパーツと生き物のようなカウルパーツを組み立てる楽しみがあります。
その一方でGORILLAは良い意味でおもちゃっぽい。ボディパーツが黄色の成型色をしていることもあって組むだけで結構満足できます。
GORILLAについてはこちらのエントリーに詳しい感想を書いています。
tetsuitafu.hatenablog.com
CBR1000RR-Rに言及すると、組み立てたら殆ど見えなくなる部分もディテールを省略せず真面目に再現されています。
またカウルやエキゾーストパイプのパーツは複雑な曲面が指先に吸い付くぐらい綺麗に表面処理をされています。
これらが組み合わさることで、メカニカルで生き物のようなレーサーバイクが出来上がっていきます。しかもパーツ精度は高く、接着剤で簡単に貼り付けるられるのだからタミヤすごい。
まだ完成していないけど、ここまででもとても作るのが楽しい。完成したらまたエントリーにします。
地下鉄駅で階段を登ってみたら気づいたこと
都内の地下鉄は深い。
1927年の銀座線開業から次々と増える地下路線は、既にある地下鉄路線やトンネル、上下水道設備等を避けて開発するため地下へ地下へと深く潜りながら開発されていった。現在都内で一番深い位置にある地下鉄ホームは大江戸線六本木駅で、その深さは地下42.3メートルある。
普段はエスカレーター等を使い地下鉄の駅は移動するが、運動不足を感じていたため職場最寄りの駅では階段を使って地上まで出ることにした。調べてみたところ、最寄りの駅はホームが地下4階にある。上り下り両方のエスカレーターと階段が用意されている箇所もあれば、エスカレーターは上りだけで下りは階段しかない箇所もある。エスカレーターだけで階段は無いという箇所は、私の移動ルートにはない。
階段で移動していると、階段の利用者が極端に少ないことがわかる。エスカレーターが利用客の導線上に配置されており、階段は若干だが遠回りの位置になる。そのため多くの人は誘導されるがままにエスカレーターを使い、朝夕のピーク時はエスカレーターの始点に人が溜まり、改札へ出るまでに時間がかかることが常態化している。
エスカレーターは前の人と一段開けて立つことが多く無駄が多いため、導線は階段があった方が駅構内で人はスムーズに流れるかもしれない。「なんて良い考え!」と思ったが、最大公約数的な要望に応えようとすると、多少時間がかかっても歩きたくない人の方が多いはずなので、私の様な少数派がたくさん歩く選択が最適解だと階段を登ったことで気づいたのでした。効率的な人の移動と快適な生活の両立は、土地の狭い都内だともはや難しいのかも。
そういえば階段の踊り場には駅設備への入口が階段のルートにはあり、階段を一番使っているのは駅のスタッフでした。
アーティチョークが自分の身体になった日
アーティチョークって食べ物だっけ?
アーティチョークという名前のチョコレート屋が前の職場近くに出来ていたり、アーティチョークという言葉をこれまで聞き流していたりと、耳慣れない言葉は改めて聞いてもイメージが湧き上がってこないものだった。
そんなアーティチョークがイタリアから送られてきた。カルチョーフィ(アーティチョークのイタリア名)のマリネを妻の妹が送ってくれて、思わぬ形で食べる機会を得た。
食べてみると筍の様にシャキシャキとした食感。瓶詰のためにたっぷりのオリーブオイルに浸かり、あちらの物らしくハーブの香りは強めだが、イタリア人に言われた通り食べるととても美味しい。サラダに加えるもよし、刻んでパスタと和えてもよし、そのままワインのオツマミにしてもよしと、カルチョーフィのマリネはまた食べたくなるクセがある。
調べてみれば、アーティチョークはキク科アザミ属の植物で日本名はチョウセンアザミ。地中海沿岸が原産の、イタリアではポピュラーな食べ物らしい。食べるのは開花前のつぼみを剥いた、内側の柔らかい部分だけで、花を咲かせると確かに紫色のアザミの花が咲くようだ。
旨い物を食べて知的満足も得る。これまでぼんやりしたイメージしかなかったアーティチョークが、自分の血肉になったと感じた週末だった。
「クレールという女」を読んで
「本棚を整理していて、むかし読んだ本のことを思い出した。もう一度、読んでみたい。なつかしいというよりも、四十年もまえにそれを読んだとき、大学院生だった私たち仲間がつよい衝撃を受け、夜を徹してそれについて話しあったあの本を、いま読んだらどんなふうか、それが知りたい気がした。」
この文章は作家の須賀敦子氏が書いた「クレールという女」というエッセイの冒頭です。ちょうど私がこの本を再読した心境と似ていたため、この奇妙な偶然に思わず吹き出してしまった。
私がこのエッセイと出会ったのは高校卒業後の浪人生時代、現代文の問題演習の中だった。当時使ったテキストの中身はほとんど覚えておらず、例外がこの「クレールという女」だ。そのぐらい読んでいて強い衝撃を受けた文章だった。ふとこの本を思い出し、何に衝撃を受けたのか思い出したくなり、Kindleでこの文章が載った「遠い朝の本たち」を買ってしまった。
まず説明するとこの「クレールとい女」は須賀敦子氏が昔読んだ「人間のしるし」という小説について書かれており、クレールというのは小説の登場人物のことだ。「クレールという女」の中でクレールと夫のジャン、友人のジャックとの関係や心情について、須賀敦子氏の体験と混ざり合う形で説明される複雑な構造で、当時も難しいと思いながら読んでいた。久々に読みながら、この文章の中で叢書という言葉を知ったことや、この文言もあの一文も過去確かに読んだこと、などを思い出した。
読み返してみると言葉の力が強い。当時の私はその内容に強い衝撃を受けていたのだが、今も印象に残り読み返したくなるのは言葉の強さがあるからなのだろう。「クレールという女」以外の他の短編も読んだが、どれも印象に残る言葉が綴られている。
「人間のしるし」の中でクレールは自分の理想を応援する友人のジャックと、現実の生活を支える夫のジャンの間におり、夫のジャンはクレールの様子に動揺し、ジャックへ嫉妬する。須賀敦子氏の言葉を借りると「目のさめる思いであの本を読んだのは、そこに『人間らしく生きる』とはなにかという問題が、根本のところで提示されているように思えた」本で、彼女は理想と現実との差に悩む自身の境遇と重ねながら、友人達と生き方について興奮して話し続けたそうだ。彼女はこの本を読み返し過去を振り返り、まだ人生の喜びも悲しみも経験していない若者だった自分の言葉は「たとえようもなく軽かった」と評している。私はそれを読むことで人生を知った気でいたのだろう。
当時の私は18歳の若者によくある悩みと進学の問題を抱えながら「クレールという女」を読み、まだ見ぬ自分の人生について想像した。今から考えれば、実際に経験したことの無い人生なので知った気でいたのも仕方無いことかと思う。あれから20年近く経ち、自分も家族を持つ大人となった。当時は考えもつかなかった人生の波風に晒されることもある。もちろん幸福な出来事も同じぐらいある。これからも続く人生については、まだわからないことばかりだ。また何年かしたらこの本を読み返し、自分の人生について考えるだろう。
ハロプラを作ってバンダイの凄さを知る
面白いことなんてないだろうと、これまで避けてきたハロプラ。作ってみたら「おかわり」したくなる面白さでした。
作ったのは2020年一番くじの景品。中古ショップで叩き売りされていたのを買ってきました。ガンプラが手に入りにくくなった時代に350円は嬉しい。その簡素なデザインからプラモデルを作る際の楽しみである驚きが少なそう、という理由で作ってこなかったハロプラ。これが作ってみたら良い意味で裏切られました。
ガンプラ(ガンプラと呼ぶのが相応しいかはわからないが)としては可動部が少なく、バンダイの稼働のノウハウを楽しむには余りに単純なデザインのハロ。可動部と言っても、口と手足が開くだけです。しかしその僅かな関節も、バンダイにかかると充分に楽しめる物になっていました。ハロは球体を開閉させ口の様に動かすデザインなんですが、球体に蝶番で可動部を作ると外観が綺麗なマルでなくなります。ではどうするかと言うと内部に関節を設けるのですが、内部に関節があると今度は開く際に上下のパーツが干渉します。球体のデザインを損なわず、その上パーツ同士が開閉時に干渉しないを実現させた関節機構は、さすがバンダイと唸るものでした。
それ以外にも遊ぶために親切な設計があちらこちらにあり、作っている時間は感心させられるばかりでした。簡素なデザインだからかアラを隠すことが難しいはずなのに、そのアラを一つひとつ丁寧に潰し欠点の無い製品を送り出す。そこがバンダイの凄さだと改めて知らさせれました。
ハロプラは普段プラモデルを作る人にこそ作って欲しいキットです。驚きと感心を一緒にもらえました。
思った通りに塗装できなくても、それは失敗ではなく味のある仕上がり/タミヤ コンバットプレーン フィアットG.91完成
タミヤのコンバットプレーンシリーズからフィアットG.91完成です。
仮組み後は水性ホビーカラーを筆塗りして塗装しました。使用したのがリニューアル前のインディブルーであったり、サーフェイサーで下地を作らずに塗装したこともあり「これはやっちまった」と途中は思っていましたが、最後までやり遂げれば出来栄えには満足。筆ムラも味が出て良いななんて思えるから不思議です(笑)
tetsuitafu.hatenablog.com
大きさは10cmぐらいで、手に持つと本当に小さく可愛い飛行機です。1968年にミニジェットシリーズとして販売された金型を流用したキットなので、ところどころ年季は感じる作りでしたが作っていて楽しかった。完成してからはまた作りたいなと思える良キットです。