エンジニアの夜時間

プラモデルを作ったり、資格試験を受けたりしながら技術力向上を目指すブログです

「やはり足は飾りだったんだ。」プラモデルが作った未完成の印象を、新しいプラモデルが壊した話。

「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。」
このセリフは、劇場版機動戦士ガンダムにおいて、ジオン公国軍シャア・アズナブル大佐の発した「足は付いていない。」の言葉に対するジオン軍整備兵の返答です。このセリフがとても印象的だったのか、その後はパロディのセリフがあふれるようになったため「どこかで聞いたことがある」という方も多いのでは無いでしょうか?


このセリフの前後を含む二人の会話を聞いて、「ああジオングは完成していなかったんだな」と私は考えていました。整備兵が直前に発する「80パーセント?冗談じゃありません。現状でジオングのは性能は100パーセント出せます!」の台詞も、出撃直前のシャアに対する嘘だと思っていました。その上、直接の関係が無い別のマンガではありますが、「プラモ狂四郎」というマンガの中に「パーフェクトジオング」という機体のプラモデルが出てきたことが、ジオングが未完成だという印象を私に決定付けました。

ところが「ジオングは完成品である」と私に思わせてくれる新しいプラモデルが発売されました。イベントでの先行販売のため私はまだ買っていませんが、そのプラモデルはバンダイスピリッツから販売された、RG(リアルグレード)シリーズのジオングです。まずはこちらの画像を見てください。画像はバンダイスピリッツのWebサイトに使われているものです。
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スカートおよびスカート内部のバーニアがこれだけ稼働します。最初から足のある思想で設計をした機体であれば、故障リスクの高い稼働部分を増やす理由はありません。つまりバンダイはRGジオングを通して「足の無いこの形がジオングの完成形だ」という主張をしていると私は考えます。
※プラモデルの実物の稼働範囲については、こちらのレビューサイトをご覧ください。沢山の写真で、格好いいポージングのガンプラを紹介している老舗のブログです。
dendero.blog.jp


RGシリーズはバンダイが2010年から販売を始めたプラモデルのシリーズで、「本物であること」を追及するシリーズです。もちろん機動戦士ガンダムにおける正解はバンダイが決めるものではないので、このジオングはひとつの解釈ですが「本物はこうなっているだろう」とスポンサーのバンダイが提示しているのです。

ここがガンプラの面白いところでは無いでしょうか。1979年の放送から41年経った2020年に、バンダイ当時の設定を再度研究し、プラモデルとしてひとつの答えを提示する。しかもこの研究は過去に何度も行われており、その都度ひとつの解釈を提示してきている。古い設定の再発見だけでなく、現実世界の技術の進歩により研究成果となる解釈がダイナミックに変化する。ガンダムが現実世界の宇宙を飛び回るその日までガンダムの研究は続き、その度にプラモデルとして新しい答えをバンダイは提示していくのでしょう。

ガンダム研究の今を知るためには最新のガンプラを買うことが、ひとつの選択かもしれません。私もひとつ、最新のガンプラを買ってみようと思います。