エンジニアの夜時間

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「世界で唯一無二の万世一系の君主」という価値

上皇陛下の天皇退位から始まった一連の皇位継承行事が、秋篠宮皇嗣即位が終了し一段落した。この間ニュースでは各皇室行事の様子を放送するのと会わせて、皇位継承順位についても頻繁に放送していた。その放送を見るたびに、私は疑問に思っていたことがある。
「男女平等が言われてずいぶん経った21世紀の今、天皇が男系男子を維持する理由ってなに?」

自分から知ろうとしていなかったこともあり、皇室や天皇については「後継者問題を抱える日本のロイヤルファミリー。多くの国民から敬愛される王族。外国の要人を歓迎する国家元首内閣総理大臣をはじめとした国家の要職を、天皇は任命するが政治的な決定権を持たないため拒否はできない。」といった理解しかなかった。そこで勉強と思い読んで見たのが、角川新書から出版されている「知られざる皇室外交(西川恵 著)」だ。この本は上皇陛下と上皇后陛下のこれまでの歩みから、皇室が担う国際親善の意味について説明するものだが、各国の対応から海外から見た皇室の価値を同時に知ることができる本でもある。

この本で私が最も注目したのは第5章および第6章に書かれた、上皇陛下の昭和天皇の息子としての重責と、世界平和にかける思いについてだ。政治的には中立の立場である上皇陛下が、当時どのような考えで国際親善として各国を訪問し振る舞ったのかが、筆者の目を通してではあるが、その一端がかいま見える。そこには近代において日本が世界でどういう立場であったか、という国際社会での歴史認識も含まれているだろう。

残念ながら本書には、私が皇位継承問題に持っていた疑問「なんで男系男子なの?」の答えは明示されていない。それでも読み進めているうちに、1500年の歴史を継承する皇室に対して敬意を払う諸外国がある、ということをまず理解し、「皇室は世界で最も長い歴史を持つ王族で、皇位継承のルールが1500年も不変な唯一無二の存在」その希少性を支えるのが「男系男子での継承」だという考えに至った。(一番古いものには希少性の面で価値がある、なんて当たり前のことに気づいていなかったのが今更ながら恥ずかしい)

近い将来再燃する可能性のある、皇室の皇位継承問題。そのときに必要となるであろう国民的議論に備えて、皇室の歴史および役割について勉強を続けていきたい。

知られざる皇室外交 (角川新書)

知られざる皇室外交 (角川新書)