エンジニアの夜時間

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【ネタバレなし】祝・完結!あの夏私が見たかったエヴァはこの映画かも。/シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

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「本当に終わってしまったんだな」シン・エヴァンゲリヲン劇場版を観終わった後、正直寂しさと合わせてそう思わざるを得ませんでした。それぐらいエヴァが好きだったというか、深く自分の中に深く染み付いていたのでしょう。

私がエヴァを初めて見たのはテレビシリーズの再放送時でした。たしか周りにいたオタクの友達のお勧めです。当時自分は中学一年生だったため、深夜の再放送はビデオテープへ録画して見ていました。主人公であるエヴァパイロット達が自分の年齢に近かったせいでしょうか、もしくは中二病だったのでしょうか、何か運命めいたものを感じ独特な世界観のエヴァンゲリオンというアニメに、勢いよくハマっていったのを覚えています。その勢いのままテレビシリーズを走り抜けるも、訳ありの最終回は多くの視聴者と同じように意味不明で、翌年公開されたいわゆる旧劇場版を観ることになったのです。

この旧劇場版がとにかく衝撃的な作品で、映像や音声の品質の高さと、テレビシリーズに輪をかけた難解さ、あの全く救いの無いエンディングなどから、「崇高なるオタクはかくあるべし」といった笑い話のような啓示を受け、私もかつては沢山いた立派なオタクとなっていました。エヴァに大きな影響を受けていたはずのその一方で、テレビシリーズと旧劇場版はどこか「恐れ」に近い対象となっており、これまでも見返すことはありませんでした。

2007年から始まった新劇場版についても、自分の中で「エヴァンゲリオンは1997年夏の旧劇場版で終わっている。あれ以上は無い。」多分そう思っており、最初の2作はリアルタイムで見ておりませんでした。それでも過ぎていく時間が何かを変えたのか、今度は会社の同僚からの誘いで2012年に公開された3作目の新劇場版を映画館で観ることになります。それに合わせてこれまで見ていなかった新劇場版の1、2作目を自宅で見ると、そこにはよく知ったキャラクター達が、過去のシリーズとは少し異なる新しい世界で躍動する姿があり、それがとても面白く再びハマる予感はありました。その後映画館で観た新劇場版3作目は旧劇場版とは違った意味で衝撃的でした。物凄い熱量をスクリーンから感じたのです。声優の演技だけではなく、関わったスタッフのパワー、挿入歌に選ばれた宇多田ヒカルの「桜流し」その全てが「新しいエヴァ」を作るエネルギーとなって溢れ出ており、再び私はエヴァの沼にハマっていったのです。

結局、新劇場版の3作目から9年近くの時間が経ってから今回のシン・エヴァンゲリヲン劇場版が公開されたのですが、その間私のエヴァ熱が冷めることはなかったような気がします。ずっと楽しみにしていた劇場最新作が観られる、ということで、公開が決まってからはどこか落ち着きがなく映画館へ行く日を待っていました。公開日が異例の月曜日(3/8)であり、この9年の間に私は家庭を持つようになったため、公開初日や仕事終わりに観に行くことができず、3月13日(土)になってようやく観に行くことができました。この5日間に聞くネタバレなしの評価を聞き、かなり期待していきましたが、映画は私の期待を軽々と越える出来映えでした。

特に映画の終盤で主人公のシンジが立ち上がる場面(比喩でもなんでも無く座った状態から立ち上がります)があり、そこからは旧劇場版の記憶を上書きしていくような場面が続きます。旧劇場版を知っている身からすると、シンジが他の登場人物とする会話は、新旧劇場版全ての清算を行っているかのようで感動的ですらありました。長年積もったモヤモヤした感情がキレイさっぱりとはいきませんが、自分自身もシンジの清算を受けて、25年間も付き合ってきたエヴァが一段落ついていくような気がしました。旧劇場版のときにシン・エヴァンゲリヲンのような映画を見せてくれたら、こんなにモヤモヤが溜まることもなく、97年の夏にエヴァンゲリオンは終わっていたのでしょう。けれども旧劇場版があの結末だったからこそここまでの話題作になり、多くの人とエヴァンゲリオンという作品を通して時代を共有することができたこと思うと、あれもひとつの結末としてはありだったかなと思います。

テレビシリーズが初めて放送された1995年から数えて、シリーズ完結までに四半世紀以上の時間を必要とし、当時近未来とされた2015年も既に過去の出来事となりました。庵野監督はじめスタッフの皆様、これまでエヴァを追ってきたファンの皆様、本当に長い間お疲れさまでした。これでたくさんの人達が安心できるようになりました。そして何よりも無事に完結したこと、1ファンとしてもとても嬉しくおもいます。
まさに今は『全てのチルドレンにおめでとう』という気持ちです。