エンジニアの夜時間

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上野耕平のヴォカリーズ。美しいだけでなく、切なく物悲しい音色。

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先日ラジオで聴いた「かけるクラシック」で、上野耕平氏ラフマニノフのヴォカリーズをサクソフォンで演奏していて、これがとても良かった。ラジオの中で上野氏が「音色が難しい。美し過ぎてはダメ。美しすぎると、幸せな曲になってしまう」という趣旨のコメントで今回の演奏のキモを教えてもらい、「なるほどなあ」と非常に納得した。

ヴォカリーズは「無言歌」とも呼ばる歌詞の無い歌だ。通常の演奏会では歌詞を全て「ア」で歌うことが多いが、今回のようにソロ楽器で歌のメロディを演奏することも多い。これまでは歌手が歌う演奏が一番だと私は思っており、人間の声が持つ表現力に楽器は敵わないと考えていたが、上野氏のサクソフォンは私の固定観念を壊してくれた。とにかく彼のサクソフォンが奏でる音色の表現が豊かなのだ。

ラフマニノフの作品は旋律が美しいのが特徴で、やはりヴォカリーズも旋律が美しい。けれども同時に、言葉にできない切なさや物悲しさがヴォカリーズのメロディには含まれており、それを表現するのが楽器では難しい。今回の上野氏の演奏は、その切なさや物悲しさの表現が抜群だった。

たまたま聴いたラジオ番組だったが、上野耕平氏の演奏技術が高いのに加えて、自分の演奏について説明もとてもわかりやすく、曲の魅力もとてもうまく伝わってきた。音声だけの情報で魅力を十分に伝える。良いラジオ番組中とはこういうものなのだろう。「これからも時間を作って視聴していきたい。」そう思わせてくれるクラシック音楽の番組だったし、「クラシック音楽聴いてみたいけどどうして良いかわからない」という人も一度聴いてみて欲しい。

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